February 25, 2006

犬好き DNA (1)

 ちょっと危ない領域になるかもしれない...

   世間には,犬好きと犬嫌いとかいう分類があって,犬を飼ってる人は,自動的に犬好きというレッテルを貼られてしまいます.それはまぁいいとして (ほんとはよくないんですが),最近感じるのは,犬飼いの中にも2つの 「人種」 があるのではないか,ということです.どんな? というのを言葉で説明するのは難しいのですが,例えを並べてみると,

 [しつけや服従に厳格]←→[あまりこだわらない]
 [犬を "飼う" 感覚]←→[犬と "暮らす" 感覚]
 [犬といると緊張する]←→[だらけてしまう]
 [犬を制御しようとする]←→[犬とかけ引きしようとする]
 [犬とは1頭ずつ相手したい]←→[群の中にいるのが好き]
    ・・・

という感じです.
 仮に左側をA人種,右をB人種と呼ぶとすると,2つの人種間の犬に対する態度や考え方は,かなり異なるような気がします.こういう違いがどこからくるのか...以下のように考えてみたんですけど,どうでしょうか?

 基本的には,A人種の人は犬に対して身構えるような印象があります.考えようによっては,これは人間のごく自然な反応かもしれません.この態度が,人間が 「牙を持った大型4つ足毛皮動物」 に対して抱く,潜在下の 「怖れ」 の感情(が形を変えたもの)とも解釈できるからです.なんせやつらは,道具や武器を獲得するまで,人間(類人猿)にとって命の脅威でしかなかったでしょうから.逆に恐怖したからこそ,用心深く生き延びることができ,また知能や技術も進歩したに違いありません.その経験が,種共通の記憶として,今も DNA のどこかに刻み込まれているとしても,不思議ではないと思います.

 では,B人種は何者なんでしょう? ここでは,それが人間と犬との出会いに関係すると考えてみました.

 人類の遠い祖先の中に,自分たちの残飯を狙ってうろついていた狼を利用しようとしたグループが現われました.彼らは,狼が恐ろしい他の猛獣の見張り役やボディーガードになってくれることを感じていました.やがて2つの生き物は食べ物を分け合い,一緒に暮らすようになりました.グループの中で母性愛が強いメンバー(多分女性)は,狼の子から特に人懐こい子を選んで,自分たちで育てようとまでしたでしょう.人間と犬との出会いって,こんな感じだったんではないでしょうか?

 数年前に少し流行った 「利己的な遺伝子」 みたいな考え方をすると,自らのコピー(血縁関係の子孫)の繁栄のため, 「4つ足毛皮動物と暮らす」 戦略を持った遺伝子があったということになります.この遺伝子に操られる人は,自分に懐いた動物といることに,恐怖より安心感を覚えたはずです.特に,目の効かない夜間や無防備な就寝の時間には,半ば切ない思いで,毛皮をまとった俊敏な身体との接触を求めたのではないでしょうか? (一方,狼の遺伝子の中にも,「2本足の頭の良い動物と暮らす」 戦略を選んだものがあり,それが人間をリーダーと見なすように指示し,姿や習性を人間好みのものに変えていった・・・と解釈できます)

 B人種の祖先は,こういう遺伝子をもったグループだったのではないかと想像します.当初,B人種遺伝子は,人類の中でごく少数派だったかもしれません.しかし,狼との共同生活で猛獣の脅威から身を守る術を身につけ,ついでに狩の成績まで上げることに成功し,徐々に数を増やしていったことでしょう.もし,その状態があと何千年か続いていれば, 「狼と暮らす派」 が多数派になっていたかもしれません.ところがやがて,人類は武器や道具で自らを守ることを覚え,生き延びる上でA人種の不利は無くなりました(あるいはA人種も,学習や模倣によって狼族と暮らすことを覚えたかもしれません).そして,両人種ともめでたく繁栄することになったわけです.


(2)に続く...

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