February 25, 2006

犬との暮らしのパラダイム (2)

話はいきなり脱線してマンションに突っ込むのだけれど,最近,"パラダイム" について話を聞いたので,その受け売りをちょっと.

この単語,元々は文法用語であったのが科学分野に流用され,今では 「人々のものの見方・考え方を根本的に規定している概念的枠組み」 という広い意味で使われている.
「根本的に」 ということは,言い替えれば 「見ることも触ることもできず,言葉で表現されることはおろか意識にも上らない」 ということである.
じゃあ現実に影響が無いかというととんでもなくて,おそらく人の意識と無意識の中間あたりにどっかと居座り,その人の思考や行動を強力にコントロールしているのである.

例えば,ある人が 「明日,どこかに遊びに行こう」 と考えたとする.
こんな時,普通は 「もし今日から明日にかけて太陽や地球が消滅せず,もし大事故や天変地異が起こらず,もし私が今日と同じように元気で,もし・・・」 とは考えない.疲れるからである.
実際には明日のことはわからないし,例えば今から10分後にすべての物質が物質であることを止めバラバラの原子に還ったとしても,誰にも文句は言えないはず.
それでも,私たちは明日という日の存在を疑わない.
これは, "明日も今日と同じように存在するのだ" パラダイムが機能しているのである.
人はこのような共通のものからその人固有のものまで,重大なものから取るに足らないものまで,それこそ無数のパラダイムに依って生きている.

ちなみにことパラダイムに関して,どれが良くてどれが悪いかという議論は空しい.
まぁ大抵の場合,そのどれもが "正しい" のだ.
重要なのはいろんなパラダイムがあることを理解し,物の見方を変えたり,視野を広げたり,コミュニケーションを豊かにしたり,行動の選択肢を増やしたりすることなのである.

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