February 25, 2006

コトバと情報と犬 (3) −情報は不変−

 ちなみに,ここで "コトバ" と言ってるのは,意図を伝えるための話し言葉だけでなく,コトバで表現される情報一般を指しているつもりです.つまり,本やテレビや他人のアドバイスなどで得られる "知識" も含まれています.

 最近は犬に関する情報が増えました.りん姉を迎えた当時は例えば 「ボーダーコリーって何?」 と調べようと思っても手がかりが少なくて困ったものです.それから思えば,まだ充分ではないかもしれませんが,随分と状況は良くなってきたようです.
 しかし,どうもこの情報やら知識やらが曲者ではないかと疑っています.

 「めまぐるしく変化する情報」 という決り文句まであるだけに,「情報は不変である」 なんて言うとわざと奇を衒ってるように聞こえるかもしれませんが,実はこれはとても当たり前のことです (ここ,実は養老孟司先生の受け売り).
 例えば目の前に一枚の葉っぱがあるとして,それを 「端の欠けた黄緑色の葉っぱ」 というコトバで情報化したとします.その瞬間,その情報自体は未来永劫不変のものになりますが,葉っぱそのものはすぐに変色して形を変えていきます.「ものは変化するが情報は不変」 なのです.情報はものが抽象化された記号に過ぎないから,,,なんだと思います.

 対照的に,物や概念は時とともに変化します.そしてその変化の激しいものの代表選手が生き物です.人間の身体の細胞は2ヶ月も経てばほとんど一新されてしまうのだそうで,定義によっては,2ヶ月前の自分は他人と言った方が良いかもしれません.それくらい激しく変化しています.

 要するに 「生き物に関する情報」 は,激しく変化するものを変化しないもので表現しているわけですから,ウソとまでは言えないまでも,どこかに無理を孕んでいる可能性が高いのです.

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