February 25, 2006

あんなリスペクト

 最近, 「リスペクト」 ということばを,ちょいちょい耳にするようになってきました.

 辞書を引くと 「尊敬,尊重,敬意,重視」 などの訳語が並んでいます.
 先日も,あるバラエティ番組の若手コメディアンが,ムチャを要求するスタッフに向かって 「いろもんリスペクトは無いんかい!!」 って叫んだのを聞いて,ちょっとびっくりしました.日本語としても定着しつつあるらしい.

 ちなみに,犬の世界で初めてこのことばに出会ったのは,このサイトでも紹介しているバーバラ・サイクスの文章にあった "control with respect" というフレーズでした.犬と人間がお互いを尊重する...犬が人間に敬意を払ってわきまえる...相手のことを大事に考える...簡単なようでもあるし,とても難しいようでもあるし,なかなか奥の深いことばだと思いました.

 これから,自分にとってこれが犬との暮らしのキーワードになりそうな予感がするんですが,それがなんなのか,もう少し考えてみたくなりました.

 唐突ですが,私の生き物観には結構殺伐としたところがあります.

 すなわち,およそこの世で生きとし生けるもの,みんな自分の子孫の繁栄を願って,地球上で懸命の戦いを繰り広げている...そんな感じです.あ,別に殺し合いをしてるという意味ではないですよ.それぞれの生き物がそれぞれの方法で,一生懸命に種の未来を切り拓いている,という感じです. 「他の生き物のことなんか考えていられない」 というのが,正直なところではないでしょうか.

 「そうでもないよ.少なくとも私たちの良心は共存共栄を望んでいるし,絶滅しそうな動物の話を聞くと胸が痛くなるもん」 という声も聞こえてきそうですが,これは,豊富な生物種のバラエティがないと自分たちも生き延びられないということを,私たち人間も身体の奥深いところで理解しているためかもしれません.

 何を言いたいかというと,要するに生き物というのは,戦いの場を共にする戦友みたいなもんではないかと思ってるわけです.そして,そういう関係だからこそ,リスペクトが生まれるんではないかと.
 例として変かもしれないけど,戦場では敵とか味方とか関係なく,敬意を表する精神ってありますよね? 私の想像するリスペクトって,この感覚に近いものがありそうです.


続く

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