February 25, 2006

育てるということ (3) − イヌの場合 −

 さて,前半は本からの受け売りでしたが,後半は,単なる個人的な妄想です ( ← まさに与太話!).ぶっちゃけて言ってしまえば,人もイヌも同じと考えたらどうだろうか?って思ってみたわけです.根拠は無いです.でも,両方とも群で暮らす雑食性の哺乳類ですから,共通する部分が多くても不自然ではないように思えます.実際,ゴリラやチンパンジーでは,人とすごく近い精神形成のプロセスを持っていると言われています.

   まず,赤ん坊が生まれて最初に抱かれる感覚.これはイヌで言えば,おっぱいを求めてお母さんのお腹に顔をうずめる感覚になるでしょうか.イヌの本を読むと,7〜8週目くらいまでは,子イヌは母イヌと兄弟の中で暮らすべきだとされています.その理由としては, 「親に守られる経験や兄弟間の遊びを通じて,最初の社会化を学ぶこと」 が挙げられています.これは,幼児が身体感覚を通して母性愛を受け取るプロセスに似ているように思えます. 「7〜8週以前に親元を引き離すと攻撃的なイヌになりやすい」 と言われます.この時期に包まれるような安心感を十分体験できず,自分を愛する能力を育てられないのかもしれません.それが自分に対する自信の無さにつながり,必要以上に他のイヌや人へのガウガウにつながる...こう考えると,生まれて1ヶ月くらいでペットショップに出すような行為は,すごく危なっかしいことのように思えてきます.
 ちなみに, 「兄弟のプロレス遊びを通じて,相手が痛がってるのを見て加減を覚える.だから,兄弟から早く離すと攻撃的になりやすい」 という解釈には,個人的にはどうもスッキリしないところもあります.噛む加減なんて,ほんとに試してみないとわからないものなのかなぁ?って.私も人を殴るとしたらその目的によって手加減するでしょうが,それは子供のときに他人の反応で試したからだとは思えません.まぁ,どっちでもいい話かもしれませんが..

 その後,イヌは少しずつ,母イヌの懐から外の世界に出ていき,そこで,母兄弟以外の群と交わることになります.そこで,しだいに群として迎え入れられ,他の成犬たちから教育を受けたりします.この群の中にいれば,子イヌは外敵や餓えから守られるわけであり,おっぱいにむしゃぶりつくのとは別の安心感を体験します.私は,これが人間で言う父性の役割を果たしているんではないかと想像しています.掟やルールを教えつつ,未成熟な個体を(身体的にではなく,存在として)大きく包み込んでやるというのは,まさに父性の機能だと思います.そして,その代表的あるいは象徴的な存在が,ボスなんではないでしょうか.

 したがって,ボスの条件としては 「力が強くて頭も良い」 ということもあるでしょうが,むしろ群のメンバーが求めるものは,どんな敵や災難が襲って来たとしても,このリーダーに従ってさえいれば大丈夫だという,大きな安心感なんではないかと思います.だとすると,冷静な判断力や落ち着き,さらには自信に満ちた態度などが,ボスの資質としては欠かせないということになります.

<続く>

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