March 1, 2008

シーツの神様 (3)

犬の話に戻ろうと思ったけど,もう一つ連想したものがあるのでついでに.
それは「お散歩ベルト」のこと.
あれ,正式には何て言うんだろう?
一本のベルトの左右に電車のつり革みたいな取っ手がたくさんくっついてる道具だ.

このお散歩ベルト,一見すると何でもないのだが,実は,あのどーしようもなくアナーキーな保育園児たちを,一糸乱れぬ(は言い過ぎかな)行列にまとめて行進させる史上最強,空前絶後,天涯孤独のリーサルウェポンなのだ.
先生がベルトの端を持って歩くだけで,園児たちはそれに従ってぞろぞろと行進する.
一人としてつり革を離すやつはいない.
無理に引っ張って行列を乱すやつもいない.
周りをキョロキョロしてても,歩く方向はまっすぐだ.
保育園の運動会でその威力を目の当たりにしたときは,本当に驚いたものだ.

この行進の様子は,シーツのイメージとピッタリだぶる.
幼児たちにとって,つり革を手放すことは何らかの負の感情に繋がるのだろう.
想像するにそれは,ヒトとサルとの見分けもつかないような時代,DNAに刻み込まれた太古の記憶のせいだ.
親や群から離れることが死に直結した時代に凝縮された不安だ.
このお散歩ベルトもおそらく,シーツと同じく群=関係性の象徴なのだろう.
何のことは無い,ヒトという動物は幼少の頃から臨終まで,関係性にすがって生きているのである.
 
つづく
 

1 comment:

Anonymous said...

「リーサル・ウェポン」って最終兵器とか究極の武器みたいな意味で使いたかったのだけど,リーサルって「致命的な」「致死的な」という意味だったんですね.
ああ,恥ずかしい...